
ウブド・モンキーフォレスト
ウブド・モンキーフォレスト
三つの寺院を抱く聖域林。カニクイザルが暮らすウブドの象徴。
ウブドの中心部に広がる「聖なるサルの森(Mandala Suci Wenara Wana)」は、単なる観光地ではなく、バリ・ヒンドゥーの哲学に基づいた神聖な自然保護区です。この森には、約1000頭以上のバリ・カニクイザルが暮らしており、彼らは寺院の守り神と見なされています。森の中には、14世紀頃に建立されたとされる3つのヒンドゥー寺院が点在しています。最も大きい「プラ・ダラム・アグン(死者の寺)」、聖なる泉が湧く「プラ・ベジ(沐浴の寺)」、そして火葬や共同墓地に関連する「プラ・プラジャパティ(創造神の寺)」です。苔むした石像や巨大なガジュマルの木々が作り出す神秘的な雰囲気の中、自由に暮らすサルたちの姿を間近で観察することができます。神々、人々、そして自然の調和を重んじるバリの思想「トリ・ヒタ・カラナ」を体現した、生きた聖域と言えるでしょう。
歴史と三つの寺院
この森と寺院群は、ウブドが王国として栄える以前から、近隣のパダン・トゥガル村の住民によって管理されてきた聖地です。森の中心にあるプラ・ダラム・アグンは、シヴァ神の化身である破壊神ドゥルガーを祀っており、生と死のサイクルを司る重要な場所です。北西にあるプラ・ベジは、寺院の儀式が行われる前に心身を清めるための沐浴場として使われます。そして、北東のプラ・プラジャパティは、共同墓地に隣接し、祖先の霊を祀る役割を持っています。これら三つの寺院が一体となって、村の精神的なバランスを保っているのです。
自然との共生哲学
モンキーフォレストの運営理念の根底には、「トリ・ヒタ・カラナ」というバリ・ヒンドゥーの哲学があります。これは、「神々との調和」「人々との調和」「自然との調和」という三つの調和が幸福の源であるという考え方です。この森では、寺院を通じて神々と、コミュニティを通じて人々と、そしてサルや植物を通じて自然と調和することが目指されています。サルたちは単なる動物ではなく、神聖な森の住人として尊重されています。訪れる私たち観光客も、この調和を乱さないよう、敬意を持って行動することが求められます。
見どころ(ここをチェック!)
サルとの触れ合いは最大の魅力ですが、いくつかのルールを守ることが重要です。まず、目を直接合わせないこと(威嚇と見なされる場合があります)。食べ物やビニール袋、光るアクセサリーなどは見せないようにし、カバンはしっかりと閉めておきましょう。サルに触ったり、追いかけたりするのは厳禁です。森の中には、竜の彫刻が施された美しい橋や、苔に覆われた守護神の石像など、写真映えするスポットがたくさんあります。特に午前中の早い時間は、観光客が少なく、木々の間から差し込む光が幻想的でおすすめです。




