
サウォ
サウォ
サポジラ(sapodilla)として知られる。熟すと非常に甘くなり、黒糖や干し柿に例えられるような濃厚でコクのある風味が特徴。
「サウォ(Sawo)」は、「サポジラ」として知られるフルーツです。見た目はジャガイモのように地味ですが、一度食べればその認識は覆されるでしょう。熟した果肉は非常に柔らかく、とろりとした食感。そして何よりも、黒糖や干し柿を思わせるような、濃厚で蜜のような甘さが最大の特徴です。この独特の甘さと香りは、他のフルーツでは味わえない、奥深い魅力を持っています。
食べ頃の見極め方
サウォを美味しく食べる上で最も重要なのが、「食べ頃」を見極めることです。未熟なサウォは、タンニンを多く含んでいるため、口の中が痺れるような強い渋みがあります。収穫したての硬い果実は、常温で数日間追熟させる必要があります。皮に少しシワが寄り、指で軽く押したときに、桃のように柔らかくなっていれば完熟のサイン。完熟したサウォの皮は手で簡単にむくことができ、中の甘い果肉を存分に楽しむことができます。この見極めが、サウォを天国にも地獄にも変える鍵となります。
食べ方と特徴的な食感
完熟したサウォは、ナイフで縦半分にカットし、スプーンですくって食べるのが簡単です。中には数個の黒く光沢のある種が入っていますが、これは食べられません。果肉は茶色で、よく熟した柿のように、少しざらざらとした舌触りがあります。この食感は、果肉に含まれる「石細胞」によるもので、梨を食べた時のシャリっとした感じに似ています。このざらつきと、とろけるような柔らかさ、そして黒糖のような濃厚な甘さが一体となった、非常にユニークな食体験ができます。
チューインガムの原料だった歴史
サウォ(サポジラ)は、その甘い果実だけでなく、かつては樹液も非常に重要でした。サウォの木から採れる「チクル(Chicle)」という乳白色の樹液は、天然のガムベースとして、チューインガムの主原料として広く利用されていました。特にマヤ文明では古くからガムとして噛む習慣があったと言われています。20世紀半ばに安価な合成樹脂のガムベースが開発されるまで、チクルは世界のチューインガム産業を支える重要な資源でした。普段食べているフルーツが、かつてチューインガムの元だったと知ると、少し不思議な気持ちになります。




