
ドリアン
ドリアン
「果物の王様」として知られ、強烈な香りと濃厚な味わいを持つ。インドネシアでは生食だけでなく、「テンポヤッ」という発酵調味料にも加工される。
一度食べたら忘れられない強烈な香りと、トゲだらけの硬い外皮が特徴の「果物の王様」。その中にはカスタードのように濃厚でクリーミーな果肉が隠されています。インドネシアでは熱狂的なファンが多く、「パンチャケ・ドリアン」といったスイーツが人気です。さらに特筆すべきは、熟した果肉を塩漬けにして発酵させた「テンポヤッ(Tempoyak)」という伝統的な調味料の存在です。これはスマトラ島の料理などで使われ、果物としてだけでなく食材としても深く食文化に根付いていることを示しています。
独特の香りと味わい
ドリアンの最大の特徴は、その強烈な匂いです。この香りは熟成が進むにつれて強くなり、ホテルや公共交通機関への持ち込みが禁止されることもあります。しかし、この香りを乗り越えて果肉を口にすると、バターやナッツ、クリームチーズを合わせたような、他にはない濃厚な甘さとコクが口いっぱいに広がります。この違いこそが、ドリアンが「王様」と呼ばれる理由です。
品種と選び方
ドリアンには非常に多くの品種があり、それぞれ味、食感、香りが異なります。例えば「ムサンキング(Musang King)」は濃厚な甘みとほのかな苦味のバランスが良く、「D24」はクリーミーでマイルドな味わいが特徴です。美味しいドリアンを選ぶには、トゲがしっかりしており、振ったときに中で果肉が動くような音がするものが良いとされます。熟しすぎると香りが強くなりすぎるため、食べ頃の見極めが重要です。「ムサンキング(Musang King)」や「モントン(Montong)」以外にも、「ドリアン・メラ(Durian Merah)」など地域固有の品種が多数存在します。
ドリアンの加工品
ドリアンは生で食べるだけでなく、様々な加工品にも使われます。果肉を煮詰めて作る「ルンポッ・ドリアン」というペースト状のお菓子や、アイスクリーム、ケーキ、キャンディなどがあります。また、未熟なドリアンは野菜としてカレーなどの煮込み料理に使われることもあります。
発酵調味料「テンポヤッ」
テンポヤッは、ドリアンの収穫期に余った果実を保存する伝統的な知恵です。果肉と塩を壺などで発酵させたもので、強い酸味とドリアン特有の風味を持ちます。主にスマトラ島のパダン料理やパレンバン料理で使われ、淡水魚(特にパティン)と一緒に煮込む「グライ・テンポヤッ・イカン・パティン」は非常に有名です。また、サンバル(チリソース)の材料としても使われ、独特のコクと風味を加えます。




