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ジェゴグ(竹ガムラン)|西部バリの巨大竹楽器 - 1

ジェゴグ(竹ガムラン)|西部バリの巨大竹楽器

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ジェゴグ(竹ガムラン)|西部バリの巨大竹楽器

青銅ガムランとは異なる竹の音楽文化。ジェンブラナ地方独自の巨大竹製打楽器。

バリ島の数あるガムラン音楽の中でも、ひときわ異彩を放つのが、西部ジェンブラナ地方発祥の巨大な竹製ガムランジェゴグ」です。一般的な青銅製のガムランが、きらびやかで金属的な響きを持ついのに対し、ジェゴグは巨大な竹の管から生み出される、大地が震えるような重低音と、パワフルで野性的なサウンドが特徴です。その音は「竹の雷鳴」とも称され、聴く者の魂を根底から揺さぶる圧倒的な迫力を持っています。元々は村の儀式や娯楽のために演奏されていましたが、そのダイナミックなパフォーマンスは世界中の音楽愛好家を魅了し、バリ西部の独自の文化を象徴する存在となっています。これは、青銅ガムランとは全く異なる、もう一つのバリの音楽体験です。

ジェンブラナ地方の風土が生んだ竹の音楽

ジェゴグが生まれたバリ島西部のジェンブラナ県は、水牛レース(マクプン)など、他の地域とは異なる独自の文化で知られています。この地に豊富に自生する巨大な竹を使い、村人たちが作り出したのがジェゴグでした。アンサンブルは、様々な大きさの竹の鍵盤打楽器で構成されており、最も低い音を出す最大の楽器は、長さが3メートル以上、直径20センチにも達します。この巨大な竹が生み出す深く豊かな共鳴音が、ジェゴグのサウンドの核となっています。ジェンブラナの緑豊かな森と力強い大地のエネルギーが、この音楽の中に凝縮されていると言えるでしょう。

高速で絡み合うリズムの洪水

ジェゴグの演奏は、そのダイナミズムと驚異的なスピードに特徴があります。複数の奏者が、それぞれ異なるリズムパターンを高速で演奏し、それが精緻に組み合わさることで、一つの巨大な音楽のうねりを生み出します。この「コテカン」と呼ばれるインターロッキング奏法は、青銅ガムランでも見られますが、ジェゴグの場合は、よりパワフルで、まるで音の洪水に飲み込まれるような感覚を覚えます。4つの音階しかないシンプルな旋律ですが、その分リズムの複雑さが際立ち、原始的な生命力にあふれたトランス状態へと聴く者を引き込んでいきます。

音楽の決闘「ジェゴグ・ムンバルン」

ジェゴグのパフォーマンスの中で最もエキサイティングなのが、「ジェゴグ・ムンバルン(Jegog Mebarung)」と呼ばれる演奏バトルです。これは、二組のジェゴグ楽団がステージ上で向かい合い、互いの技術とスタミナ、そして音楽の創造性を競い合うものです。一方が演奏を始めると、もう一方がそれに呼応し、次第にテンポは速く、リズムは複雑になっていきます。どちらかが演奏を続けられなくなるまで続くこの「決闘」は、攻撃的なものではなく、互いの実力を称え合い、最高の音楽を生み出すための共同作業でもあります。その視覚的な迫力と、会場全体を震わせるサウンドは、一度体験したら忘れられない強烈なインパクトを残します。

概要

ギャラリー
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