
サテ・パダン
サテ・パダン
西スマトラ州パダン地方のサテ。 とろみのあるスパイシーなカレー風ソースが特徴。
インドネシアのサテの中でも、ひときわ個性的な存在感を放つのが、西スマトラ州パダン地方発祥の「サテ・パダン(Sate Padang)」です。串に刺されているのは、主に牛の赤身肉や牛タン(リダ)、ハツ(ジャントゥン)といった内臓肉。そして最大の特徴は、ピーナッツソースや醤油ダレではなく、米粉でとろみをつけた、まるでカレーのような黄色くスパイシーなソースをかけて食べることです。複雑なスパイスの香りが食欲をそそる、唯一無二のサテです。
サテパダンの歴史と特徴
サテ・パダンは、美食の宝庫として知られるパダン地方の食文化を象徴する料理です。牛肉、特に内臓肉を無駄なく美味しく食べるための知恵から生まれました。肉は、ウコン、コリアンダー、クミン、ガランガルなど、十数種類のスパイスでじっくりと煮込まれてから串に刺して焼かれるため、非常に柔らかく、中までしっかりと味が染み込んでいます。この丁寧な下ごしらえが、他のサテにはない深い味わいを生み出しているのです。
味の決め手となるソース
サテ・パダンのアイデンティティとも言えるのが、その独特なソースです。肉を煮込んだ後のスパイシーな煮汁をベースに、米粉を溶き入れてとろみをつけ、さらにウコンを加えることで鮮やかな黄色に仕上げます。その味わいは、ピリッとした辛さの中に、スパイスの複雑な香りと肉の旨味が溶け込んでおり、非常に濃厚。このソースが、焼きたてのサテと、付け合わせのクトゥパット(ヤシの葉で包んだご飯)にたっぷりと絡み、一体となって口の中に広がります。
地域によるバリエーション
一口にサテ・パダンと言っても、パダン周辺の都市によって微妙なバリエーションが存在します。最も有名なのが、パダン・パンジャン市のスタイルで、ウコンを多用した黄色く濃厚なソースが特徴です。一方、パリアマン市では、唐辛子の割合が多く、より赤みがかった色で、辛味の強いソースが好まれます。お店の看板に「Sate Padang Pariaman」などと書かれている場合は、辛口の可能性が高いでしょう。これらの違いを知っていると、より深くサテ・パダンの世界を楽しむことができます。




