
サテ・カンビン & サテ・クラタッ
サテ・カンビン & サテ・クラタッ
ヤギ肉の串焼き。 独特の風味と歯ごたえが特徴で、スタミナ食として人気。
「カンビン」はインドネシア語でヤギを意味し、「サテ・カンビン(Sate Kambing)」はヤギ肉の串焼きを指します。独特の風味と歯ごたえが特徴で、スタミナ食として特に男性に人気があります。中でも、古都ジョグジャカルタには「サテ・クラタッ(Sate Klatak)」という、他とは一線を画すユニークなヤギのサテが存在します。串に自転車のスポークを使い、味付けは塩と胡椒のみという究極のシンプルさが、肉本来の旨味を最大限に引き出します。
サテカンビンの特徴
一般的なサテ・カンビンは、サイコロ状にカットしたヤギ肉(主に若いヤギの肉が使われる)を串に刺し、ケチャップ・マニス(甘口醤油)ベースのタレで焼き上げます。ヤギ肉特有の匂いを消すために、パイナップルの果汁で肉をマリネするなど、下ごしらえに工夫が凝らされています。ピーナッツソースではなく、刻んだ赤玉ねぎや唐辛子が入った醤油ベースのソースでさっぱりと食べるのが主流。濃厚な味わいは、インドネシアのビールとも相性抜群です。
サテクラタッのユニークな調理法
ジョグジャカルタ名物のサテ・クラタッは、その調理法が非常にユニークです。最大の特徴は、串に竹ではなく、自転車の車輪に使われるスポーク(鉄串)を使用する点。鉄は竹よりも熱伝導率が高いため、肉の内側からも均等に火が通り、外はこんがり、中は驚くほどジューシーで柔らかく仕上がります。焼く際に肉が「クラタッ、クラタッ」と音を立てることが、その名前の由来になったと言われています。この調理法は、肉の質に絶対の自信があるからこそできる、究極のサテと言えるでしょう。
シンプルな味付けと食べ方
サテ・クラタッの味付けは、なんと塩と胡椒、そして少量のニンニクのみ。タレやソースを一切使わず、肉本来のピュアな旨味をストレートに味わうのが流儀です。焼き上がったサテは、グライ(Gulai)と呼ばれるヤギ肉のカレー風味スープに浸して食べるのが一般的。シンプルな塩味のサテが、スパイシーなスープと出会うことで、口の中で新たな味わいが完成します。素材の良さを極限まで引き出した、引き算の美学を感じさせる逸品です。




